平成24年度徳島大学入学式式辞
平成24年4月6日(金曜日)
会場 アスティとくしま
新入生の皆さんご入学おめでとうございます。また本日ご参列いただきましたご家族や関係の皆様方に対し、徳島大学を代表いたしまして心よりご入学のお祝いとお慶びを申し上げます。
昨年は日本では3月11日の東日本大震災による津波被害、それに伴う原発事故、そして世界ではエジプト、リビア等の革命、ギリシャに端を発した経済危機等、世界が大きく揺れています。 大震災後一年経過した今も未だ大きな課題が残されています。すなわち、我々人類に解決すべきたくさんの課題が突きつけられています。一方で人と人との絆、コミュニティーの大切さを教えてくれました。言い換えれば、これらのことを通じて持続可能な社会を形成する必要性をあらためて認識しなければならないことを教えてくれました。
そのような状況の中で、加速度的にグローバル化が進み、社会の複雑性の進行とともに多様性に対処しなければいけない時代になっていますが、これからの4年間または6年間の大学生活を有意義に過ごし、また楽しんでいただくことを心より願っています。
ここに大学入学の国際的な資格を認定する「国際バカロレア」の目指す学習者像を示します。「国際バカロレア」の理念は全人教育にあります。すなわち、学問?研究をするにあたって心に刻まなければいけないことは、探究する人Inquirers 知識のある人Knowledgeable 考える人Thinkers 挑戦する人Risk-takers 振り返りができる人Reflectiveの5項目があげられています。是非、入学後、教育を受けるにあたり留意してください。さらに人間として世の中で生活することに必要と思われる、コミュニケーションができる人Communicators 信念のある人Principled 心を開く人Open-minded 思いやりのある人Caring バランスのとれた人Balancedの5項目があげられています。学問?研究だけでなく、人間性を涵養することが大事です。これらのことは、OECD(経済協力開発機構)の報告にある (1)言葉や知識を相互作用的に用いる能力、(2)社会的に異質な集団で交流できる能力、(3)自律的に活動する能力が要求されているわけです。総合的には、周囲の環境や社会的な働き、そして自らが果たすべき役割を認識しなければなりません。
そのためにはPDCAサイクルをまわすことです。Pはプラン、きちんとした計画を立て、Dはdo ちゃんと実行し、Cはcheck 客観的に点検?評価し、そしてAアクション すなわち改善を経て次のステップへと進むことです。すなわち、このサイクルのどの部分がストップしても、また欠落しても物事は達成しないし進歩することはできません。是非、自分に合った計画を立て、実行されることを希望します。
大学での学問は今までと違い、深い探求心に基づく本当の知識を身につけることです。また専門的知識と教養的知識のバランスも必要です。すなわち、柔軟な見方や広い視野、幅広い知識に基づく確かな理解力や判断力、コミュニケーション力を身につけることが重要です。
教養教育では俯瞰的で柔軟な見方や広い視野、幅広い知識に基づく確かな理解力や判断力など、知的な力をつけることに留意することが重要です。繰り返し述べることになりますが、バランスのとれた知識、バランスのとれた人間力を身につける必要があることを是非理解していただきたいと思います。
皆さんのこれからの大学生活では、教職員をはじめ、多くの先輩がサポートしてくれます。 皆さんのこれからの大学生活が豊かな自然に恵まれた徳島で、楽しく有意義なものとなるよう祈念して、平成24年4月6日、諸君の記念すべき入学式に際してのお祝いの言葉とします。