平成23年度徳島大学卒業式?修了式式辞
平成24年3月23日(金曜日)
会場 アスティとくしま
平成23年度徳島大学卒業式にあたり、めでたく卒業される皆さんに対し心からお祝い申し上げます。
また、多くの御来賓の皆様の御臨席を賜り皆さんの門出をお祝いできることは、徳島大学としても大きな喜びとするところです。また、この日まで卒業生の皆さんの成長を見守り、応援?支援されてきた御家族の皆様方にも、徳島大学を代表してお祝い申し上げます。
皆さんの在学中、様々なことが起こりました。卒業にあたって、それぞれ思い出が交錯していることと思います。そのうちでも、昨年3月11日の東日本大震災は多くの解決しなければならない大きな課題を我々に与えています。また同時に、持続継続可能な社会を形成するための絆、コミュニティーの大切さを教えてくれました。
今、金融危機、異常気象、環境破壊、政治不安等、世界の足元がゆれている一方で、グローバル化?情報化が加速的に進んでいます。このような混沌とした社会が持つ複雑性?多様性に否が応でも対処しなければいけない、復興元年といわれる年に皆さんは社会人としての第一歩を踏み出すわけです。
このような世界情勢の中、巣立つ皆さんに3つのお願いがあります。
1番目は、世の中の課題は決して正解が1つだけとは限りません。また反対に正解が必ず1つあるというものではないということです。どちらかといえば、答えがない時代と言えます。そのため、是非解答のない問題に対処できる能力を鍛えてください。それには失敗しても粘り強く取り組み、試行錯誤しながら失敗を恐れず常に一歩でも前に踏み出し、他の人と協力しながら粘り強く取り組む努力が必要です。
2番目は、様々な人たち、すなわち多様な人と協力して働ける力、すなわち協働力です。これには自分の意見を的確に人に伝え、意見や立場の異なるメンバーも尊重する必要があります。他人の言うことをきちんと聞きそして理解し、自分のこともきちんと話ができないといけません。
3番目は、人間として基本的なマナーを守ることです。何事を行うにしても倫理観、公共心、思いやり、規律性を大事にすることです。状況に応じ、社会のルールに従い自らの発言や行動を適切に律しなければなりません。自分のルールややり方に固執するのではなく、相手の意見や立場を尊重し理解する心が必要です。深い道徳観、倫理観を持ち、今まで学んだ基礎知識と専門知識を生かすため、社会人基礎力を養っていただくことを切に望んでいます。
最近はとみに、終身雇用や年功序列という日本型雇用が変容しており、社会に出てからも自分を高める必要性が増しています。皆さんには、是非希望をもって未来を担う人材となることを祈念しています。
最後に徳島市南常三島出身で薬学の礎を築いた「日本薬学の父」と称され徳島大学薬学部創設のきっかけをつくった長井長義博士の言葉を送り、皆さんの卒業をお祝いしたいと思います。昨年、長井長義博士の映画が徳島大学長井長義映像評伝実行委員会の手で制作されました。「国の品位は学理によって定まり、豊かさはその実地への応用によって成し遂げられる」という信念を持っていた人物です。若者に送る長井長義先生の言葉です。
?「未来を生きる若者よ、志をもたれよ。志は、どんな時も君たちを夢に導く道しるべになる」
是非「志」を忘れず、徳島大学卒業生として地域で、そして世界で御活躍されることを心より祈念して、平成24年3月23日、徳島大学卒業のお祝いの言葉とします。
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