新型コロナウイルスの複製に必須な酵素メインプロテアーゼ(Mpro)に対する茶カテキン類の阻害効果を検討しました。解析したカテキン類8種のうち、エピガロカテキンガレート(EGCG)を含む5種のカテキン類が用量依存的に組換えウイルス酵素を阻害しました。茶カテキンはウイルス酵素の5つの部位(配列)と優先的に共有結合を形成し、なかでも酵素活性部位(システイン145残基を含む配列)で最も明瞭でした。10種類の市販ペットボトル茶とウイルス酵素を保温したところ、4種類の緑茶(135倍希釈)はウイルス酵素を80%以上阻害しましたが、ブレンド茶と麦茶は効果を示しませんでした。煎茶(600倍希釈)、ティーバッグの緑茶(700倍希釈)でも阻害が認められました。ウイルス酵素を発現している培養細胞の培地にEGCGを添加して細胞と保温すると、細胞内からEGCGが結合したウイルス酵素が見つかりました。細胞内で茶カテキンとウイルス酵素が直接結合したことを報告する最初の研究となります。このことは緑茶カテキンが感染細胞内のウイルス酵素を阻害しうることを示唆しています。本学の赤川教授は、実験方法を教授するなど本研究の遂行に際し、茶カテキンとウイルスの結合に関する解明に携わりました。
本研究はアメリカ化学会が刊行する国際学術雑誌『Journal of Agricultural and Food Chemistry』に、2025(疯狂体育,疯狂体育app下载7)年2月5日、オンライン掲載されました。
【プレスリリース】緑茶に含まれる茶カテキンは酵素活性部位への結合を介して新型コロナウイルスの酵素メインプロテアーゼを阻害する
?食による感染症予防に期待?(PDF 1.84MB)