リンやall-transレチノイン酸による慢性腎臓病の病態進行機序の解明

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報告者

徳島大学大学院医歯薬学研究部 臨床食管理学分野 助教 増田 真志

研究タイトル

リンやall-transレチノイン酸による慢性腎臓病の病態進行機序の解明

研究経緯等
 

【研究グループ】

徳島大学大学院医歯薬学研究部 臨床食管理学分野 教授 竹谷 豊
徳島大学大学院医歯薬学研究部 臨床食管理学分野 講師 奥村 仙示
徳島大学大学院医歯薬学研究部 臨床食管理学分野 助教 大南 博和
University of Colorado Professor Makoto Miyazaki

【学術誌等への掲載状況】

  1. Masuda M, Miyazaki-Anzai S, Keenan AL, Okamura K, Kendrick J, Chonchol M, Offermanns S, Ntambi JM, Kuro-O M, Miyazaki M. Saturated phosphatidic acids mediate saturated fatty acid-induced vascular calcification and lipotoxicity. J Clin Invest. 125: 4544-4558, 2015.
  2. Masuda M, Miyazaki-Anzai S, Keenan AL, Shiozaki Y, Okamura K, Chick WS, Williams K, Zhao X, Rahman SM, Tintut Y, Adams CM, Miyazaki M. Activating transcription factor-4 promotes mineralization in vascular smooth muscle cells. JCI Insight. 1: e88646, 2016.
  3. Niida Y, Masuda M, Adachi Y, Yoshizawa A, Ohminami H, Mori Y, Ohnishi K, Yamanaka-Okumur H, Uchida T, Nikawa T, Yamamoto H, Miyazaki M, Taketani Y. Reduction of stearoylCoA desaturase (SCD) contributes muscle atrophy through the excess endoplasmic reticulum stress in chronic kidney disease. J Clin Biochem Nutr. 67:179-187, 2020.
  4. Adachi Y, Masuda M, Sakakibara I, Uchida T, Niida Y, Mori Y, Kamei Y, Okumura Y, Ohminami H, Ohnishi K, Yamanaka-Okumur H, Nikawa T, Taketani Y. All-trans retinoic acid induces GADD34 gene expression via transcriptional regulation by Six1-TLE3 and post-transcriptional regulation by p38-TTP in skeletal muscle. bioRxiv.463012, 2021.
研究概要

リンは、骨?核酸?ATPなどの構成要素として、ヒトが生きていく上で必須のミネラルである。血中リン濃度は、腸管での吸収や腎臓での排泄/再吸収によって厳密に制御されている。近年、新たな国民病として認識されつつある慢性腎臓病(CKD)では腎臓でのリン調節機構の破綻により高リン血症となるが、高リン血症は血管石灰化などに起因する心血管疾患の発症リスクを高めて死亡率の上昇を招く。高リン血症による血管石灰化の発症は小胞体内の異常タンパク質の蓄積により生じる小胞体ストレスが原因であることや、CKDで併発する筋萎縮に関しても高リン血症による小胞体ストレスが一因であることを我々は明らかにした(1-3)。

 ビタミンAは、レチノールやレチノールから変換されるレチナールやレチノイン酸、そしてこれらの3-デヒドロ体の総称で、胚発生、細胞の成長や分化、免疫機能、視覚など多彩な生理作用を有する脂溶性ビタミンである。CKDは、その重症度に応じて5段階のステージに分類されるが、CKDの進行に伴って血中ビタミンA濃度が上昇する。他の研究グループの報告から、CKDで上昇するビタミンAの活性本体all-transレチノイン酸(atRA)によって症状をより悪化させていることが示唆されており、ビタミンAによるCKDの病態進行に対する影響は注目されつつある。atRAは筋肉の分化を制御することも古くから知られていたが、筋肉に対するそれ以外の影響についてはあまり研究されていない。一方、成長停止およびDNA損傷誘導性タンパク質GADD34は、小胞体ストレス応答の負のフィードバック制御を担う。筋芽細胞における転写因子Six1-TLE3を介したGADD34転写活性の低下やp38-TTPによるGADD34 mRNA分解 (転写後制御) をatRAが抑制する結果、筋芽細胞ではatRAはGADD34発現量を増加させることを我々は明らかにした。さらに、増加したGADD34は速筋の減少を伴う筋繊維タイプ変化を誘導することも見出した(4)。

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今後の展望(研究者からのコメント)
 我々の研究結果で示された速筋の減少を伴う筋繊維タイプ変化は、血中ビタミンA濃度が上昇するCKDの筋萎縮で見られる筋繊維タイプ変化と類似していることから、今後、我々が見出した一連のシグナルに焦点を当てた疾患治療研究が期待される。
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