人々の心身の状態を理解?調整し,創造性を拡張する人工知能技術と情報通信技術

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疯狂体育,疯狂体育app下载3年度 若手研究者学長表彰 疯狂体育,疯狂体育app下载報告

 

報告者

大学院社会産業理工学研究部 准教授 山本哲也

研究タイトル

人々の心身の状態を理解?調整し,創造性を拡張する人工知能技術と情報通信技術

研究経緯等
 

【研究グループ】

 徳島大学大学院社会産業理工学研究部 准教授 内海千種
 徳島大学大学院創成科学研究科 修士1年 鈴木奈穂
 医療法人むつみホスピタル 山下裕子
 横浜市立大学医学群健康社会医学ユニット 助教 菅谷渚
 藤田医科大学医学部医学科 教授 吉本潤一郎


【学術誌等への掲載状況】

  1. Yamamoto, T., Uchiumi, C., Suzuki, N., Sugaya, N., Murillo-Rodriguez, E., Machado, S., … Budde, H. (2021). The influence of repeated mild lockdown on mental and physical health during the COVID-19 pandemic: a large-scale longitudinal study in Japan. MedRxiv, 2021.08.10.21261878. Retrieved from 
  2. 山本哲也, & 吉本潤一郎. (2021). 機械学習アプローチの臨床応用ーデジタル革新がもたらすメンタルヘルスケアの新たな形ー. 認知行動療法研究, 47(3), 1–11. 
  3.  Sugaya, N., Yamamoto, T., Suzuki, N., & Uchiumi, C. (2021a). Alcohol Use and Its Related Psychosocial Effects during the Prolonged COVID-19  Pandemic in Japan: A Cross-Sectional Survey. International Journal of Environmental Research and Public Health, 18(24). 
  4. Sugaya, N., Yamamoto, T., Suzuki, N., & Uchiumi, C. (2021b). Social isolation and its psychosocial factors in mild lockdown for the COVID-19  pandemic: a cross-sectional survey of the Japanese population. BMJ Open, 11(7), e048380. 
  5. Suzuki, N., Yamamoto, T., Uchiumi, C., & Sugaya, N. (2021). Effects of interoceptive sensibility on mental health during the coronavirus disease 2019 pandemic. International Journal of Environmental Research and Public Health, 18(9). 
  6. Yamamoto, T., Uchiumi, C., Suzuki, N., Yoshimoto, J., & Murillo-Rodriguez, E. (2020). The psychological impact of “mild lockdown” in Japan during the COVID-19 pandemic: a nationwide survey under a declared state of emergency. International Journal of Environmental Research and Public Health, 17(24), 9382. 
  7. Sugaya, N., Yamamoto, T., Suzuki, N., & Uchiumi, C. (2020). A real-time survey on the psychological impact of mild lockdown for COVID-19 in the Japanese population. Scientific Data, 7(372).
  8. Yamamoto, T., Yoshimoto, J., Murillo-rodriguez, E., & Machado, S. (2019). Prediction of Daily Happiness Using Supervised Learning of Multimodal Lifelog Data. Revista Psicologia e Saúde, 11(2), 145–152. 

 【本研究に関わる受賞歴】

  1. 2022年1月 JAFOE Best Speaker Award Japan-America Frontiers of Engineering Symposium (日本工学アカデミー, 全米工学アカデミー, 科学技術振興機構) Tetsuya Yamamoto
  2. 2021年12月 学術大会特別優秀発表賞 公益社団法人 日本心理学会 山下裕子?山本哲也
  3. 2021年12月 学術大会特別優秀発表賞 公益社団法人 日本心理学会 山本哲也, 内海千種, 鈴木菜穂, 菅谷渚
  4. 2021年11月 第28回日本行動医学会学術集会 優秀演題賞 日本行動医学会 山本哲也, 内海千種, 鈴木菜穂, 菅谷渚
  5. 2021年10月 2021年度JABCTダイバーシティ推進研究ポスター賞 銀賞 日本認知?行動療法学会 鈴木菜穂, 山本哲也, 内海千種, 菅谷 渚
  6. 2021年9月 萱アートコンペ2021 入選 萱アートコンペ実行委員会 山本哲也
  7. 2021年5月 第77回 現展 入選 現代美術家協会 山本哲也
  8. 2021年3月 第10回「ICTとくしま大賞」ソフトバンク賞 徳島県 山下裕子,山本哲也
  9. 2021年3月 第10回「ICTとくしま大賞」ニューノーマル大賞(とくしま産業振興機構特別賞) 徳島県 山下裕子,山本哲也
  10. 2021年3月 第10回「ICTとくしま大賞」STNet賞(単独) 徳島県 山本哲也
  11. 2020年11月 e-とくしま推進財団表彰 公益財団法人 e-とくしま推進財団 臨床心理情報学研究室(山本哲也研究室)
  12. 2020年3月 源内奨励賞(単独) 公益財団法人 エレキテル尾崎財団 山本哲也
  13. 2019年10月 徳島県科学技術大賞(単独) 徳島県 山本哲也
  14. 2019年6月 第9回総合科学優秀賞(単独) 徳島大学 山本哲也
  15. 2019年5月 第14回学会奨励賞 日本うつ病学会 山本哲也, 吉本潤一郎
  16. 2019年1月 学術大会特別優秀発表賞 公益社団法人 日本心理学会 山本哲也, 吉本潤一郎
  17. 2018年10月 SCI-Tech Festival Tokushima University 2018(第18回社会産業理工学研究交流会)優秀賞(単独) 徳島大学 山本哲也
  18. 2017年9月 日本健康心理学会第30回記念大会 優秀発表賞 一般社団法人 日本健康心理学会 山本哲也, 吉本潤一郎
研究概要

私たちは,近年発展の目覚ましい人工知能技術と情報通信技術を活用して,主に①人々の心身の症状を高精度に予測?予防する,②人々の苦悩を早期的にやわらげる,③描画や精読に関する人々の創造性を拡張する,といったことを可能にするための手法を開発してまいりました。以下に,それらの概要についてご紹介いたします。

①    人々の心身の症状を高精度に予測?予防するための心理情報学的手法の開発(図1,2)
 私たちの日々の心理的情報(例:気分,思考)や,生物学的情報(例:心拍,睡眠),および社会的情報(例:対人接触,活動量)を活用することは,私たちの心身の状態の改善に大きく寄与する可能性を秘めています。しかしながら,データ量が膨大になり,データの性質も様々であることから,これらの情報(以下,ライフログ)を効果的に整理するための解析手法の開発と実装が極めて重要となります。そこで,人工知能技術の一種である機械学習法を,複雑なライフログデータや大規模集団データに適用することによって,(a) 頭痛の発生パターンを可視化し,予防につなげる,(b) 幸福感の増減パターンを予測し,生活の仕方を提案する,(c) うつ病の再発兆候を早期に検出し,再発予防のための対処方略を提案する,(d) コロナ禍における人々の困難を網羅的?統合的に抽出する,といったことを試みました。

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図1(クリックで拡大します)
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図2(クリックで拡大します)

② 人々の苦悩を早期にやわらげる情報通信技術の開発(図3左)
 心に苦悩を抱えていても他者に相談できず,結果的に心理的不調を維持?増悪させてしまう人々は少なくありません。また,コロナ禍のような状況では,ますます他人との接触が制限されることから,こうした人々の苦悩の低減に寄与する介入手法の開発が求められています。そこで本研究では,仮想現実(バーチャルリアリティ,以下VR)技術に着目しました。まず,参加者本人の3Dアバターと,参加者を大切に思ってくれている他者(親,親友など)の3Dアバターを作成し,仮想空間に位置付けました。そして,その仮想空間内において,参加者と相手のアバターの視点をいれかえながら,自分の苦悩について自己対話ができるVRセルフカウンセリング技術を開発しました。
 

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図3(クリックで拡大します)

③    描画や精読に関する人々の創造性を拡張する人工知能技術の開発(図3右)
 代表的な人工知能技術の一種である「ディープラーニング」を適用することで,絵を描くことや,文学小説を多面的に考察するなど,人々の創造性の向上に大いに寄与できると考えられました。そこで,本研究では,(e) 人工知能と協働して絵を描く,(f) 人工知能と協働して江戸川乱歩を読む,といったことを可能にする技術の応用?実装を行いました。
 
今後の展望(研究者からのコメント)

今回ご紹介したさまざまな技術は,医療,教育,産業をはじめ,多岐にわたる領域に寄与することが期待されています。一方で,どのように日常生活に役立てていくか,といった応用方法の実際については,いまだ発展の余地を大いに残しているといえます。そのため,今後はこれらの技術を最大限活用しながら,人々の生活をよりよくするお手伝いができるような研究につなげていきたいと考えております。
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研究内容についての資料

(Sugaya, Yamamoto, Suzuki, & Uchiumi, 2020, 2021a; Suzuki, Yamamoto, Uchiumi, & Sugaya, 2021; Yamamoto, Uchiumi, Suzuki, & Sugaya, 2020)
(Yamamoto et al., 2021; Yamamoto, Yoshimoto, Murillo-rodriguez, & Machado, 2019; 山本 & 吉本, 2021)(Sugaya, Yamamoto, Suzuki, & Uchiumi, 2021b)

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