幅広い知識を組み合わせることで肺線維症とがん免疫、2つの異なる領域のトップランナーに
研究者て?は珍しい2つの領域を研究
西岡先生のラボでは呼吸器疾患とリウマチ膠原病疾患を扱っていて、研究グループとしては肺線維症、がん免疫、喘息、リウマチの研究グループがあります。その中でも力を入れているのは、肺線維症の研究とがん免疫の研究です。 西岡先生は教授になる前にがん免疫の研究を10年間、肺線維症の研究を10年間したという経緯から、この二つを主とした研究が進んでいるのだそうです。
「ふつうはどれか一つの研究に絞って行うので、僕も教授になった時にどれか一つにしようかなと思ったんですが、二つの領域をこんなに一生懸命にやっている人は誰もいないだろう、と。せっかくだから両方とも頑張ってみようと思って続けています」。がん免疫の研究を肺線維症研究をがん免疫の研究に生かすということを相互に繰り返すうちに、それぞれの領域で最先端に近づいているかもといいます。
この二つ、関連性や類似性があるかといえば、「あまりない」という西岡先生。それぞれ別々の研究を繋ぐ成果の一つが線維細胞(fibrocyte)という細胞の研究だそうです。線維細胞は肺線維症の領域ではメジャーな細胞ですが、がん研究ではノーマーク。あるとき肺がんの薬剤耐性メカニズムについての研究を行っていた際に、線維細胞が関係しているかも...ということが分かり、この閃きが功を奏し、研究結果は学術雑誌『Nature Communications』に掲載されました。「それぞれの領域で関心を集めるものは意外と限られているので、ある領域では『誰でも知っている』というものも、別の領域では『誰も知らない』というケースはよくあります。
トップランナーになるために、ただひたすら一本道を走っていくっていう研究もあれば、別の領域から持ってきたものが、たまたまトップに躍り出るということもあって、幅広い知識をうまく組み合わせることで、研究って面白くなるもんだなと実感しています」。
西岡先生は全国の医師か?「自分の家族に治療か?必要になった時に診てもらいたい医師」を選ふ?『ヘ?ストト?クタース?』に8年連続て?選出されました!
全国から研究者か?集まる希少な研究を行うラホ?を目指して!
肺線維症研究チーム。
か?ん免疫研究チーム。
二つの領域て?活躍してきた西岡 先生て?すか?、最近、と?ちらかにウエイトを置いた新しい試みに踏み二つの領域て?活躍してきた西岡先生て?すか?、最近、と?ちらかにウエイトを置いた新しい試みに踏み出そうとされています。
「臨床の教室なので、人に役立つものを何か残したいっていうことを誰しも思うんですよね。そうすると臨床研究が必要になるんですが、臨床研究ってすごい労力がかかるんですよ。臨床研究を本気でやりだすと、基礎の研究に時間を割けないくらい、時間を費やすことになっちゃうので、ここに踏み出すとしたら、どちらかに絞った方がいいかなと、考えています。それが中途半端で終わるか、それなりの成果が出るかは紙一重ですが、そうした展開のものが一つぐらいあってもいいのかなと、思ってはいます」。
現在ラボのメンバーは約30名。近々5名増える予定で、臨床研究をするには人数の規模に加え、ある程度研究を任せることができる人も必要といいます。メンバーの中には研究目的に全国から来県している先生が名いらっしゃるそう。「がんと比べて肺線維症の研究をしている人が少ないのと、間質性肺炎の基礎研究から臨床研究までしっかりやっているところはないので、その領域で最先端のことができるラボと全国的に評価いただいているため、人が集まっているのだと思います」。
人のために役立つものを作りたい
西岡先生が目指す「人に役立つ何か」のひとつに新薬の開発があります。新薬と聞いて思い浮かぶのは、イギリスで行われた新型コロナウイルス感染症のワクチン接種のニュースではないでしょうか。あのニュースを見て、製薬会社の頑張り次第では短期間で治療薬ができるようなイメージを持った人もいるかもしれませんが、そう易々とできるものではないといいます。
西岡先生のラボでは2021年から肺線維症の薬の開発に協力して、大手企業と共に第III相臨床試験に進むものがあるといいます。新薬の開発は通常、3段階の治験を経て行われ、第III相臨床試験は標準的な治療と比較して、効果が高いかどうかを調べる最終段階です。第III相へ進むのは約6.5%という確率のレアケースですが、第III相へ進んだからといって、完成間近と安心はできないといいます。「第III相の段階でも副作用でうまくいかなかったり、やってみないとわからないことが多いですが、もし薬ができたなら徳島大学が開発に貢献した薬として、全国の肺線維症の研究者に認められると思います」。キャリアが長くなると臨床研究への興味が沸き、大学人として研究している定年までの間に、何らかの成果を出して「患者さんに還元するような研究をしたい」という西岡先生。「そういう研究ができれば研究者冥利に尽きますね」と、お話いただきました。
撮影時、研究室の方はPCR検査の準備をされていました。写真左側はウエスタンフ?ロッティンク?を自動て?行う機器。お値段、1000万円た?そうて?す!
西岡 安彦(にしおか やすひこ)のプロフィール
大学院医歯薬学研究部 医学域 教授