医工連携でさらに進化する細胞バイオメカニクス
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細胞内カルシウム濃度の計測例
アクチン細胞骨格
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第二世代
佐藤先生の研究は生命工学系ということで、医学系との連携があればさらに可能性が広がるのでは、という書き出しで4年前の本誌で紹介させていただきました。先生はそれを実行され、現在は常三島と蔵本キャンパスを行き来しながら研究を進めています。
「オリジナル機材の開発などは常三島で、バイオイメージングステーションでの先端計測機器使用は蔵本キャンパスでというように、徳島大学の特質を生かしながら取り組んでいます。他の医工連携研究のモデルケースにもなればとの思いもあります」
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振動?ストレッチ複合刺激装置
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第一世代
MEMS(マイクロ?エレクトロ?メカニカル?システム)の技術を応用して製作された先生の装置も、この4年間で第3世代まで進化しました(写真)。
より精度良く、より効率的に細胞への引張り刺激の付与ができるように、山口大学との共同研究により改良を続けています。
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第三世代
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実験風景
昨年春には、骨の細胞に力学からアプローチするという佐藤先生の研究に、新たな展開がありました。大阪大学から来られた松本健志(まつもとたけし)教授(大阪大学大学院基礎工学研究科招聘教授?兼任)との出会いです。
松本先生は、「マウスに全身性の微振動を与えると骨欠損の修復が速くなる。骨粗鬆症の予防になる」という注目すべき研究で、そのメカニズムの解明を行っています。
そこで着目したのが佐藤先生の開発している、骨の細胞を引張る装置です。二人は研究の成果や情報を共有しながら研究を進めています。理工学系発の骨の新しい再生治療として期待されるところです。
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実験風景
医学部との連携は、佐藤先生の研究の幅も広げています。骨の細胞だけでなく、形成外科と連携して、皮膚のケロイド治療への応用を目指した共同研究をスタートさせています。
また松本先生の骨の振動の応用と組み合わせるなど、医学系にはない機械工学系ならではのアプローチで、最先端医療に大きな影響を与えていくことでしょう。
「いずれにせよ、臨床の場で生かされる成果を出すことが研究の目的ですから、これからもしっかりと研究を共有して進めていきたいと思います」と、今日も常三島から蔵本へスクーターで走る佐藤先生です。
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- 大学院理工学研究部 理工学部門
- 知能機械学分野 講師
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[取材] 166号(平成29年1月号より)