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あの「スペースバルーンプロジェクト」が気球を使った防災研究に発展

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総合科学部 教授 佐原 理(さはら おさむ)研究室


佐原先生の研究室では映像?デザインや美術教育を中心に、学生それぞれが関心をもったテーマを追求し、様々な研究を行っています。卒業制作もユニーク。LGBTQに寛容な社会をインタビューを通して生み出す試みや電子機器の廃品をアクセサリーにアップサイクルするプロダクトデザインなどの社会課題を独自の視点で切りとり、ドキュメンタリーやプロダクトの制作などを通して、メッセージを発信しています。

個々の研究と並行して研究室では「フィルムサイクルプロジェクト」にも取り組んでいます。個人が所有する戦前から80年代までの徳島を撮影したフィルムや写真をデジタル化。持ち主やその時代を知る方の語りと共に公共資産としてアーカイブし、過去の時代に遡って検索可能なSNSを生み出すことを目指しています。

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フィルムサイクルプロジェクトについては特設サイトをチェック!
https://storymaps.arcgis.com/stories/43326ed0a4cd45c1a234d6e081721990

また、佐原先生や研究室が得意とする映像やデジタル技術は防災研究にも及んでいます。

気球型装置にカメラをつけて成層圏へ飛ばす「スペースバルーンプロジェクト」(2020年『とくtalk』10月号掲載)から派生し、クラスター研究の一部として多領域の研究者の先生方と共同で、災害時、気球を使って助けを求める被災者の探知に役立つシステムの開発が進んでいます。

「災害発生から72時間は、助けを求める声や物音に集中するサイレントタイムが設けられています。この時、地上の音をモニターする装置を付けた気球を複数飛ばすことで、広範囲で音の発生源を感知し、瓦礫の下敷きになっている人の声を特定し、その位置を把握することができます。さらに理工学部の大野先生の研究からAIと組み合わせることで人間が出している音や人間じゃないと出せない音の分類、雨や曇りなど多様な環境でもノイズを消して人の声だけ取り出すといったこともできるだろうと研究を進めています」。

気球の燃料となる水素の自動発生装置も外部企業と共同で作成していて、災害時、水さえ入れれば気球が立ち上がるような仕組みも開発中。こうして収集したデータを元に被害の全貌を速やかに把握し、サイレントタイム終了後にドローンを使った緊急物資の運搬など、消防と連携したスムーズな救命措置に役立つことが期待されます。

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東日本大震災発生から13年。大きな被害をもたらした災害も今の学生にとっては「そんなことあったんだという感覚」になっているという佐原先生。南海トラフ地震への対策も呼びかけられる中、映像を使って地域にどう貢献するか、映像と何かを結びつ け、新しいモノを創造していくか。この研究室ならではの独創性や強みをいかした研究の行方に注目が集まっています。

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取材日は各自が撮影した写真で写真集を作る授業を行っていました。
将来、広告代理店やデザイン会社への 就職を希望する学生も多いため、
学生のうちから映像によるコミュニケーションの実践を積めるよう、チラシ制作などの仕事を受注し、作成することもあるそう。

 

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