Nucleocytoplasmic Shuttle Peptide

ケミカルバイオロジー分野において、細胞内成分の分布を細胞外から制御する方法が求められています。そこで私達は、光照射に応答し、細胞内成分をある部位から別の部位へ運搬するペプチド性化合物の開発を目指した研究を展開しています。現在までに、私達は光応答型アミノ酸(光照射に応答してペプチド結合切断を誘起するアミノ酸、刺激応答型ペプチド結合切断デバイスのページを参照)を基盤とした核-細胞質シャトルペプチドの開発に成功しました。核-細胞質シャトルペプチドとは、まず細胞質から核内へ移行し、光照射をトリガーとして細胞質へ再移行するペプチドのことです。シャトルペプチド(1)は、まず核局在化シグナル(NLS)の働きにより、細胞質から核へ移行します。ここへ光照射をすると、ペプチド結合の切断およびO-Nアシル基転移反応が起こり、核外移行シグナル(NES)誘導体を生成します。この結果、シャトルペプチドは再び細胞質へ移行するという設計です。現在、本シャトルペプチドを基盤とした細胞内タンパク質局在制御システムを開発中です。

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参考文献

Shigenaga, A.; Tsuji, D.; Nishioka, N.; Tsuda, S.; Itoh, K.; Otaka, A. ChemBioChem 2007, 8, 1929. 重永 章、辻 大輔、西岡直美、津田修吾、伊藤孝司、大高 章、ケミカルバイオロジー 2008, 1, 7 and cover picture.

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