1)生殖補助医療学に関する基礎的研究
1978年に世界最初の体外受精児が生まれてから30年が経過し、不妊症の治療法は激変を遂げ、胚や卵子の凍結保存法、顕微授精、卵の体外成熟培養法、着床前診断等の様々な技術が開発された。これらの技術は生殖補助医療技術と呼ばれ、主に生殖補助医療胚培養士によって実施されている。わが国では生殖補助医療胚培養士の約50%は臨床検査技師であるが、彼らは各医療機関や学会の研修会等で生殖補助医療技術に関する教育を受けているものの、生殖生理学、不妊症学、泌尿器科学、生命倫理学などを包括した系統的で幅広い教育を受ける機会はない。生殖補助医療分野は生殖補助医療胚培養士、さらに胚培養士を指導?管理する生殖補助医療管理胚培養士を育成することを設置目的のひとつとしている。さらに倫理問題に配慮した、社会的に受け入れ可能な生殖補助医療を開発することを研究上の目的とし、特に卵の活性化に関する基礎的研究を行なっている。
2)リプロから生涯にわたる健康支援にむけた縦断的研究
高齢不妊女性や高齢出産女性の増加にともない増えてくる疾患(糖尿病や高血圧など)や精神的な問題に対して、性成熟期からの予防、治療、支援を行うことにより、更年期や老年期におけるQOLを高めることができるかどうかについて研究を行う。
3)女性の生涯にわたる健康についての内分泌学的研究
女性の生涯の健康を考え支援するために、生涯にわたるホルモン(内分泌)動態を理解しておくことは重要である。特に、ダイナミックにホルモンが変化する周閉経期にみられる諸症状に対して、予防、治療、支援を行うことが、将来の生活や疾患を変化させ、 QOLを高めることができるかどうかについて研究を行う。