○徳島大学における障がいを理由とする差別の解消の推進に関する役職員対応要領
平成28年3月9日
学長裁定
(目的)
第1条 この要領は、障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(平成25年法律第65号。以下「法」という。)第9条第1項の規定に基づき、国立大学法人徳島大学(以下「本学」という。)に勤務する全ての者(以下「役職員」という。)が、障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本方針(疯狂体育,疯狂体育app下载5年3月14日閣議決定)に即して適切に対応するため、必要な事項を定めるものとする。
(1) 障がい者 法第2条第1号に規定する身体障害、知的障害、精神障害(発達障害及び高次脳機能障害を含む。)その他の心身の機能の障がい(難病等に起因する障がいを含む。)(以下「障がい」という。)がある者であって、障がい及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるものとし、本学の行う教育、研究、社会貢献、診療等全ての活動(以下「本学の活動」という。)の対象となるものをいう。
(2) 社会的障壁 法第2条第2号に規定する障がいがある者にとって日常生活又は社会生活を営む上で障壁となるような事物、制度、慣行、観念等をいう。
(3) 不当な差別的取扱い 障がい者に対して、正当な理由なく、障がいを理由として本学の活動についての機会の提供を拒否すること、提供に当たり場所?時間帯等を制限すること又は障がい者でない者には付さない条件を付すことにより障がい者の権利利益を侵害することをいう。また、車椅子、補助犬その他の支援機器等の利用や介助者の付添い等の社会的障壁を解消するための手段の利用等を理由として行われる不当な差別的取扱いも、障がいを理由とする不当な差別的取扱いに該当する。ただし、障がい者の事実上の平等を促進し、又は平等を達成するために必要な特別な措置は、不当な差別的取扱いではない。
(4) 合理的配慮 障がい者が日常生活や社会生活で受けるさまざまな制限をもたらす原因となる社会的障壁を取り除くために障がい者の個別の状況に応じて行う配慮をいう。
(5) 部局 各学部、大学院各研究科、大学院各研究部、教養教育院、先端酵素学研究所、ポストLEDフォトニクス研究所、徳島大学学則(昭和33年規則第9号。以下「学則」という。)第4条に定める共同教育研究施設、四国産学官連携イノベーション共同推進機構、附属図書館、病院、事務局、技術支援部、キャンパスライフ健康支援センター、障がい者就労支援センター及び学則第7条の6により設置するその他の組織をいう。
(6) 部局長 前号に規定する部局の長をいう。
(基本方針)
第3条 役職員は、本学の活動を推進するに当たり、不当な差別的取扱いを行ってはならない。この場合において、正当な理由に相当するかどうかの判断は、個別の事案ごとに、障がい者又は第三者の権利利益、本学の活動の目的、内容、機能の維持等を基に、総合的及び客観的に行うものとする。
2 役職員は、障がい者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、合理的配慮の提供をしなければならない。この場合において、負担の軽重の判断は、個別の事案ごとに次の各号に掲げる要素を考慮し、総合的及び客観的に行うものとする。
(1) 本学の活動への影響の程度
(2) 実現可能性の程度(物理的?技術的制約、人体?体制上の制約)
(3) 必要経費及び負担の程度
(4) 本学の規模及び財務状況
(5) その他必要と認める事項
3 前2項の場合において、役職員は別紙に定める留意事項に留意するものとする。なお、正当な理由がある又は過重な負担に当たると判断したときは、役職員は障がい者に丁寧にその理由を説明し、理解を得るように努めなければならない。その際には、役職員と障がい者の双方が、互いに相手の立場を尊重しながら、建設的対話を通じて相互理解を図り、代替措置の選択も含めて柔軟に対応を検討することが求められる。
(学長の責務)
第4条 学長は、障がい者差別解消の推進及びそのための環境整備等の障がい者差別解消に関する必要な措置を講じなければならない。
(1) 日常の業務を通じた指導等により、所属職員の注意を喚起し、及び障がいを理由とする差別の解消に関する意識の啓発を行うこと。
(2) 障がい者等から不当な差別的取扱いや合理的配慮の不提供に対する相談又は苦情の申し出があった場合は、迅速に状況を確認すること。
(3) 不当な差別的取扱いや合理的配慮の不提供を確認した場合は、所属職員に対する適切な指導及び合理的配慮の提供等の指示を行うこと。
2 部局長は、障がいを理由とする差別に関する問題を認識したときは、学長に報告するとともに、その指示に従い、迅速かつ適切に対処しなければならない。
(1) 職員からの相談 法人運営部人事課
(2) 学生からの相談 キャンパスライフ健康支援センターアクセシビリティ支援部門
(3) 患者等からの相談 病院患者支援センター
(4) 地域住民及び一般からの相談 法人運営部総務課
2 前項の規定にかかわらず、各部局においても、相談等を受け付けなければならない。
3 相談等を受ける場合は、性別、年齢、状態等に配慮するとともに、対面のほか、電話、ファックス、電子メールに加え、障がい者が他人とコミュニケーションを図る際に必要な多様な手段を可能な範囲で用意して対応するものとする。
4 相談窓口等に寄せられた相談等は、相談者のプライバシーに配慮し関係者間で情報共有を図り、以後の相談等において活用するものとする。この場合において、関係者は、知り得た相談者の個人情報を適切に管理しなければならない。
5 第1項の相談窓口を置く部局の長は、必要に応じて相談窓口の充実を図るよう努めるものとする。
(懲戒等)
第7条 役職員が、障がい者に対して不当な差別的取扱いをし、又は過重な負担がないにもかかわらず合理的配慮の提供をしなかった場合、その態様によっては、本学の役職員として遵守すべき事項に違反し、又はそれに準ずる不適切な行為があった場合に該当し、本学の規則に基づき懲戒処分等に付されることがある。
(研修及び啓発)
第8条 学長は、障がいを理由とする差別の解消の推進を図るため、役職員に対して必要な研修及び啓発を行うものとする。
2 前項の研修に関し必要な事項は、学長が定める。
3 第1項の啓発は、障がいの特性を理解させ、障がい者に適切に対応するためのマニュアル等を活用して行う。
(雑則)
第9条 この要領に定めるもののほか、障がいを理由とする差別の解消に関し必要な事項は別に定める。
附則
この要領は、平成28年4月1日から実施する。
附則(平成29年3月24日改正)
この要領は、平成29年4月1日から実施する。
附則(平成31年3月28日改正)
この要領は、平成31年4月1日から実施する。
附則(疯狂体育,疯狂体育app下载2年3月25日改正)
この要領は、疯狂体育,疯狂体育app下载2年4月1日から実施する。
附則(疯狂体育,疯狂体育app下载4年3月30日改正)
この要領は、疯狂体育,疯狂体育app下载4年4月1日から実施する。
附則(疯狂体育,疯狂体育app下载6年3月11日改正)
この要領は、疯狂体育,疯狂体育app下载6年4月1日から実施する。
附則(疯狂体育,疯狂体育app下载6年10月1日改正)
この要領は、疯狂体育,疯狂体育app下载6年10月1日から実施する。
別紙
徳島大学における障がいを理由とする差別の解消の推進に関する対応要領に係る留意事項
第1 不当な差別的取扱いの基本的な考え方
法は、障がい者に対して、正当な理由なく、障がいを理由として、財?サービスや各種機会の提供を拒否すること又は提供に当たって場所?時間帯などを制限すること、障がい者でない者に対しては付さない条件を付することなどにより、障がい者の権利利益を侵害する不当な差別的取扱いを禁止しており、車椅子、補助犬その他の支援機器等の利用や介助者の付添い等の社会的障壁を解消するための手段の利用等を理由として行われる不当な差別的取扱いも、障がいを理由とする不当な差別的取扱いに該当する。
ただし、障がい者の事実上の平等を促進し、又は達成するために必要な特別の措置は、不当な差別的取扱いではない。したがって、障がい者を障がい者でない者と比べて優遇する取扱い(いわゆる積極的改善措置)、法に規定された障がい者に対する合理的配慮の提供による障がい者でない者との異なる取扱いや、合理的配慮を提供等するために必要な範囲で、プライバシーに配慮しつつ障がい者に障がいの状況等を確認することは、不当な差別的取扱いには当たらない。
このように、不当な差別的取扱いとは、正当な理由なく、障がい者を、問題となる事務又は事業について、本質的に関係する諸事情が同じ障がい者でない者より不利に扱うことである点に留意する必要がある。
第2 正当な理由の判断の視点
正当な理由に相当するのは、障がい者に対して、障がいを理由として、財?サービスや各種機会の提供を拒否するなどの取扱いが客観的に見て正当な目的の下に行われたものであり、その目的に照らしてやむを得ないと言える場合である。役職員は、正当な理由に相当するか否かについて、具体的な検討をせずに正当な理由を拡大解釈するなどして法の趣旨を損なうことのないよう、個別の事案ごとに、障がい者、第三者の権利利益(安全の確保、財産の保全、損害発生の防止等)及び本学の活動の目的、内容、機能の維持等の観点に鑑み、具体的場面や状況に応じて総合的及び客観的に判断することが必要である。
役職員は、正当な理由があると判断した場合には、障がい者に丁寧にその理由を説明するものとし、理解を得るよう努めなければならない。その際には、役職員と障がい者の双方が、互いに相手の立場を尊重しながら相互理解を図ることが求められる。
第3 不当な差別的取扱いに関する例
不当な差別的取扱いに関する例は次に掲げるとおりである。なお、第2で示したとおり、不当な差別的取扱いに相当するか否かについては、個別の事案ごとに判断されることとなる。また、これらの例については、正当な理由が存在しないことを前提としていること、さらに、これらはあくまでも例示であり、不当な差別的取扱いがこれらの例だけに限られるものではないこと、正当な理由があり不当な差別的取扱いに該当しない場合であっても、合理的配慮の提供を求められる場合には別途の検討が必要であることに留意する。
(正当な理由がなく、不当な差別的取扱いに該当すると考えられる例)
○ 障がいを理由に窓口対応を拒否する。
○ 障がいを理由に書面の交付、資料の送付、パンフレットの提供等を拒む。
○ 事務又は事業の遂行上、特に必要ではないにもかかわらず、障がいを理由に、来学の際に付き添い者の同行を求めるなどの条件を付けたり、特に支障がないにもかかわらず、付き添い者の同行を拒んだりする。
○ 障がいの種類や程度、サービス提供の場面における本人や第三者の安全性などについて考慮することなく、一律にあるいは漠然とした安全上の問題を理由に学内の施設利用を拒否又は制限する。
(正当な理由があるため、不当な差別的取扱いに該当しないと考えられる例)
○ 実習において、アレルギーを有する障がい者に対し、アレルゲンとなる材料を使用する場合、実習に必要な作業の遂行上具体的な危険の発生が見込まれる旨を当該障がい者に説明の上、アレルゲンとならない材料に代替し、別の部屋での実習を設定する。
○ 体育実技を伴う科目の履修において、安全管理上の観点から、通常のクラスではなく、障がい等のある学生に対応するよう設計したクラスの履修を提案する。
第4 合理的配慮の基本的な考え方
(1) 障害者の権利に関する条約(以下「権利条約」という。)第2条において、「合理的配慮」は、「障害者が他の者との平等を基礎として全ての人権及び基本的自由を享有し、又は行使することを確保するための必要かつ適当な変更及び調整であって、特定の場合において必要とされるものであり、かつ、均衡を失した又は過度の負担を課さないもの」と定義されている。
法は、権利条約における合理的配慮の定義を踏まえ、行政機関等に対し、その事務又は事業を行うに当たり、個々の場面において、障がい者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障がい者の権利利益を侵害することとならないよう、社会的障壁の除去の実施について、合理的配慮を行うことを求めている。合理的配慮は、障がい者が受ける制限は、障がいのみに起因するものではなく、社会における様々な障壁と相対することによって生ずるものとのいわゆる「社会モデル」の考え方を踏まえたものであり、障がい者の権利利益を侵害することとならないよう、障がい者が個々の場面において必要としている社会的障壁を除去するための必要かつ合理的な取組であり、その実施に伴う負担が過重でないものである。
合理的配慮は、本学の活動の目的?内容?機能に照らし、必要とされる範囲で本来の業務に付随するものに限られること、障がい者でない者との比較において同等の機会の提供を受けるためのものであること、本学の活動の目的?内容?機能の本質的な変更には及ばないことに留意する必要がある。
(2) 合理的配慮は、障がいの特性や社会的障壁の除去が求められる具体的場面や状況に応じて異なり、多様かつ個別性の高いものであり、当該障がい者が現に置かれている状況を踏まえ、社会的障壁の除去のための手段及び方法について、第5に掲げる要素を考慮し、代替措置の選択も含め、双方の建設的対話による相互理解を通じて、必要かつ合理的な範囲で、柔軟に対応がなされるものである。さらに、合理的配慮の内容は、技術の進展、社会情勢の変化等に応じて変わり得るものである。合理的配慮の提供に当たっては、障がい者の性別、年齢、状態等に配慮するものとする。特に障がいのある女性に対しては、障がいに加えて女性であることも踏まえた対応が求められることに留意する。また、障がいのある性的マイノリティについても同様に留意する。
なお、合理的配慮を必要とする障がい者が多数見込まれる場合、障がい者との関係性が長期にわたる場合等には、その都度の合理的配慮とは別に、第4号に示す環境の整備を考慮に入れることにより、中?長期的なコストの削減?効率化につながる点は重要である。
(3) 意思の表明に当たっては、具体的場面において、社会的障壁の除去に関する配慮を必要としている状況にあることを言語(手話を含む。)のほか、点字、拡大文字、筆談、実物の提示や身振りサイン等による合図、触覚による意思伝達など、障がい者が他人とコミュニケーションを図る際に必要な手段(通訳を介するものを含む。)により伝えられる。その際には、社会的障壁を解消するための方法等を相手に分かりやすく伝えることが望ましい。
また、障がい者からの意思表明のみでなく、障がいの特性等により本人の意思表明が困難な場合には、障がい者の家族、支援者?介助者、法定代理人等、コミュニケーションを支援する者が、本人を補佐して行う意思の表明も含む。
なお、意思の表明が困難な障がい者が、家族、支援者?介助者、法定代理人等を伴っていない場合など、意思の表明がない場合であっても、当該障がい者が社会的障壁の除去を必要としていることが明白である場合には、当該障がい者に対して適切と思われる配慮を提案するために建設的対話を働きかけるなど、自主的な取組に努めなければならない。
(4) 合理的配慮は、不特定多数の障がい者等の利用を想定して事前に行われる建築物のバリアフリー化、介助者等の人的支援、情報アクセシビリティの向上等の環境の整備を基礎として、個々の障がい者に対して、その状況に応じて個別に実施される措置である。したがって、各場面における環境の整備の状況により、合理的配慮の内容は異なることとなる。また、障がいの状態等が変化することもあるため、特に、障がい者との関係性が長期にわたる場合等には、提供する合理的配慮について、適宜、見直しを行うことが重要である。
(5) 本学の活動の一環として実施する業務を事業者に委託等する場合は、提供される合理的配慮の内容に大きな差異が生ずることにより障がい者が不利益を受けることのないよう、委託等の条件に、この要領を踏まえた合理的配慮の提供について盛り込むよう努めることが望ましい。
第5 過重な負担の基本的な考え方
過重な負担については、具体的な検討をせずに過重な負担を拡大解釈するなどして法の趣旨を損なうことなく、個別の事案ごとに、次に掲げる要素等を考慮し、具体的場面や状況に応じて総合的?客観的に判断することが必要である。役職員は、過重な負担に当たると判断した場合は、障がい者に丁寧にその理由を説明するものとし、理解を得るよう努めなければならない。その際には、役職員と障がい者の双方が、互いに相手の立場を尊重しながら、建設的対話を通じて相互理解を図り、代替措置の選択も含めて柔軟に対応を検討することが求められる。
○ 事務又は事業への影響の程度(本学の活動の目的、内容、機能を損なうか否か)
○ 実現可能性の程度(物理的?技術的制約、人的?体制上の制約)
○ 費用?負担の程度
第6 合理的配慮の例
第4で示したとおり、合理的配慮は、具体的場面や状況に応じて異なり、多様かつ個別性の高いものであるが、例としては、次に掲げるとおりである。
なお、これらの例は、第5で示した過重な負担が存在しないことを前提としていること、また、これらはあくまでも例示であり、合理的配慮がこれらの例だけに限られるものではないことに留意する必要がある。
(合理的配慮に当たり得る物理的環境への配慮の例)
○ 段差がある場合には、車椅子利用者にキャスター上げ等の補助をする、携帯スロープを渡すなどする。
○ 配架棚の高い所に置かれたパンフレット等を取って渡す、パンフレット等の位置を分かりやすく伝えるなどする。
○ 目的の場所までの案内の際に、障がい者の歩行速度に合わせた速度で歩いたり、前後?左右?距離の位置取りについて、障がい者の希望を聞いたりする。
○ 障がいの特性により、頻繁に離席の必要がある場合には、会場の座席位置を扉付近にする。
○ 疲労を感じやすい障がい者から別室での休憩の申し出があった際、別室の確保が困難であることから、当該障がい者に事情を説明し、対応窓口の近くに長椅子を移動させて臨時の休憩スペースを設ける。
○ 不随意運動等により書類等を押さえることが難しい障がい者に対し、書類を押さえたり、バインダー等の固定器具を提供したりする。
○ 災害や事故が発生した際、館内放送で避難情報等の緊急情報を聞くことが難しい聴覚障がい者に対し、電光掲示板、手書きのボード等を用いて、分かりやすく案内し誘導を図る。
○ 視覚障がい者からトイレの個室を案内するよう求めがあった場合に、求めに応じてトイレの個室を案内する。その際、同性の教職員がいる場合は、障がい者本人の希望に応じて同性の職員が案内する。
(合理的配慮に当たり得る意思疎通の配慮の例)
○ 筆談、読み上げ、手話、点字、拡大文字等のコミュニケーション手段を用いる。
○ 資料等について、点字、拡大文字等で作成する際に、各々の媒体間でページ番号等が異なり得ることに留意して使用する。
○ 視覚障がいのある者に資料等を事前送付する際、読み上げソフトに対応できるよう電子データ(テキスト形式)で提供する。
○ 意思疎通が不得意な障がい者に対し、絵カード等を活用して意思を確認する。
○ 駐車場などで通常、口頭で行う案内を、紙にメモをして渡す。
○ 書類記入の依頼時に、記入方法等を本人の目の前で示したり、分かりやすい記述で伝達したりする。本人の依頼がある場合には、代読や代筆といった配慮を行う。
○ 比喩表現等が苦手な障がい者に対し、比喩、二重否定表現などを用いずに具体的に説明する。
○ 障がい者から申出があった際に、ゆっくり、丁寧に、繰り返し説明し、内容が理解されたことを確認しながら応対する。また、なじみのない外来語は避ける、漢数字は用いない、時刻は24時間表記ではなく午前?午後で表記するなどの配慮を念頭に置いたメモを、必要に応じて適時に渡す。
○ 資料を見ながら説明を聞くことが困難な視覚又は聴覚に障がいのある者や知的障害を持つ者に対し、ゆっくり、丁寧な説明を心がけるなどの配慮を行う。
○ 障がいの特性に合ったサポートを行う等、可能な範囲での配慮を行う。
(ルール?慣行の柔軟な変更の例)
○ 順番を待つことが苦手な障がい者に対し、周囲の者の理解を得た上で、手続き順を入れ替える。
○ 立って列に並んで順番を待っている場合には、周囲の者の理解を得た上で、当該障がい者の順番が来るまで別室や席を用意する。
○ スクリーン、手話通訳者、板書等がよく見えるように、スクリーン等に近い席を確保する。
○ 車両乗降場所を施設出入口に近い場所へ変更する。
○ 駐車場等において、障がい者の来学が多数見込まれる場合、通常、障がい者専用とされていない区画を障がい者専用の区画に変更する。
○ 建物への入館の際に事前の要望により係員が付き添う、又は別ルートからの入館を認める。
○ 他人との接触、多人数の中にいることによる緊張等により、発作等がある場合、当該障がい者に説明の上、障がいの特性や施設の状況に応じて別室を準備する。
○ 非公表又は未公表情報を扱う場合等において、情報管理に係る担保が得られることを前提に、障がいのある者の理解を援助する者の同席を認める。
また、合理的配慮の提供義務違反に該当すると考えられる例及び該当しないと考えられる例としては、次のようなものがある。なお、記載されている内容はあくまでも例示であり、合理的配慮の提供義務違反に該当するか否かについては、個別の事案ごとに判断することが必要であることに留意する。
(合理的配慮の提供義務違反に該当すると考えられる例)
○ 入学試験や定期試験等において、筆記が困難なためデジタル機器の使用を求める申出があった場合に、デジタル機器の持込みを認めた前例がないことを理由に、必要な調整を行うことなく一律に対応を断る。
○ 自由席で開講している授業において、弱視の学生等からスクリーンや板書等がよく見える席での受講を希望する申出があった場合に、事前の座席確保などの対応を検討せず、一律に「特別扱いはできない」という理由で対応を断る。
○ 視覚障がい者が、点字ブロックの無いイベント会場内の移動に必要な支援を求める場合に、「何かあったら困る」という抽象的な理由で具体的な支援の可能性を検討せず、参加や支援を断る。
○ 学生等が、支援者と共に更衣室を利用することを希望した場合に、空いている教室など代替施設を検討することなく、設備がないという理由で対応を断る。
(合理的配慮の提供義務に反しないと考えられる例)
○ オンライン授業の配信のみを行っている場合に、オンラインでの集団受講では内容の理解が難しいことを理由に対面での個別指導を求められた際、字幕や音声文字変換システムの利用など代替措置を検討したうえで、対面での個別指導を可能とする人的体制?設備を有していないことを理由に、当該対応を断る。(事務?事業の目的?内容?機能の本質的な変更には及ばないことの観点)
○ 図書館等において、混雑時に視覚障がい者から職員等に対し、館内を付き添って利用の補助を求められた場合に、混雑時のため付添いはできないが、職員が聞き取った書籍等を準備することができる旨を提案する。(過重な負担(人的?体制上の制約)の観点)
○ 発達障害等の特性のある学生から、得意科目で修得した単位を不得意な科目の単位として認定してほしい(卒業要件を変更して単位認定をしてほしい)と要望された場合、不得意科目における環境調整や受講方法の調整などの支援策を提示しつつ、卒業要件を変更しての単位認定は、自大学におけるディプロマ?ポリシーに照らし、教育の目的?内容?機能の本質的な変更にあたることから、当該対応を断る。(事務?事業の目的?内容?機能の本質的な変更には及ばないことの観点)
さらに、環境の整備は、不特定多数の障がい者向けに事前的改善措置を行うものであるが、合理的配慮は、環境の整備を基礎として、その実施に伴う負担が過重でない場合に、特定の障がい者に対して個別の状況に応じて講じられる措置である。したがって、各場面における環境の整備の状況により、合理的配慮の内容は異なることとなる。合理的配慮の提供と環境の整備の関係に係る例は、次のとおりである。
(合理的配慮の提供と環境の整備の関係に係る例)
○ エレベーターの設置といった学内施設のバリアフリー化を進める(環境の整備)とともに、肢体不自由のある学生等が、実験室等で実験実施の補助を必要とした際に、その補助を行うティーチング?アシスタント等を提供する。(合理的配慮)
○ 障がい者から申込書類への代筆を求められた場合に円滑に対応できるよう、あらかじめ申込手続における適切な代筆の仕方について方法?手順等を定める(環境の整備)とともに、障がい者から代筆を求められた場合には、本人の意向を確認しながら担当者が代筆する。(合理的配慮)
○ オンラインでの申込手続が必要な場合に、手続を行うためのウェブサイトが障がい者にとって利用しづらいものとなっていることから、手続に際しての支援を求める申出があった場合に、求めに応じて電話や電子メールでの対応を行う(合理的配慮)とともに、以後、障がい者がオンライン申込みの際に不便を感じることのないよう、ウェブサイトの改良を行う。(環境の整備)
第7 留意点
別紙中「望ましい」と記載している内容は、それを実施しない場合であっても、法に反すると判断されることはないが、障害者基本法(昭和45年法律第84号)の基本的な理念及び法の目的を踏まえ、できるだけ取り組むことが望まれることを意味する。