平成27年度 SIH道場振り返りシンポジウムを開催しました
1)開催趣旨
各学部?学科での「SIH 道場~アクティブ?ラーニング入門~」を振り返り、取組内容および成果と課題を共有し、次年度のプログラム改善に繋げる。
2)実施概要
日 時:平成27 年11 月13 日(金)16:30~18:30 (16:00 受付開始)
場 所:南常三島キャンパス 総合科学部地域連携プラザ2 階地域連携大ホール(けやきホール)
参加対象:本学の教職員及び学生
【平成27 年度SIH 道場~アクティブ?ラーニング入門振り返りシンポジウムポスター】
チラシデータはこちら? ? H27年度SIH道場振り返りシンポポスター.pdf (PDF 573KB)
3)開催報告
最初に、赤池雅史大学教育再生加速プログラム実施専門委員会副委員長が開会の挨拶を行った。次に「平成27 年度SIH 道場の総括」として、久保田祐歌特任助教がSIH 道場の目的および平成27 年度の各プログラムの取組み概要について紹介すると共に、学生対象アンケート結果について説明を行った。その後、「SIH 道場授業設計コーディネーターによる実施報告」として、井戸慶治教授(総合科学部)と岩田貴教授(医療教育開発センター)が報告を行った。
井戸教授は、総合科学部のSIH 道場プログラムの「大学入門講座」「基礎ゼミナール」における取組の成果と課題を報告した。岩田教授は、蔵本キャンパス(医学部?歯学部?薬学部)の1 年生合同ワークショップ「チーム医療入門」について成果と課題を報告した。さらに「ポスター発表」として、各15 プログラムの担当者と医療教育開発センターの担当者がそれぞれのSIH 道場の取組について報告を行い、参加者の質問に答えた。
「SIH 道場受講生からの報告」においては、SIH 道場評価?改善ワーキンググループの学生委員のうち10 名が報告を行った。SIH 道場が役に立った点としては、以下が挙げられた。
「英語で書かれた資料でプレゼンを準備し、発表を通して、答えのない問題にどのようにアプローチし取り組むのかを学び、大学生であると実感できた。」
「グループのメンバーで協力して実験についてのポスターを作成し協働力がついた。」
「早期臨床体験実習で現場に行き、将来医者になるという意識が強まった。」
「他学部の人と一緒にKJ 法でグループワークを行った際には最初は沈黙から始まったが、話し合いを進めて行くことができた。」
「文章力、プレゼン力はSIH 道場だけでは完璧に身につかないが、第一歩になった。」
「先生との距離が近く、文章力やプレゼン力を身につけることができた。3 年で行うような専門的なことができ、専門で学ぶイメージを正確に固められた。」
SIH 道場の改善点としては、以下が挙げられた。
「自分の学科はSIH 道場がチーム医療入門のみだったので、他の学科のようにプログラム数を増やしてほしい。」
「レポート課題のフィードバックが遅く、他の授業に結果を活かせなかった。」
「大学に入学して初めてレポートを書いたので、レポートの書き方指導をもっと丁寧に行って欲しかった。一度レポートをみてもらったが、もう一度自分で修正したものをみてもらう時間があればよかった。」
ディスカッションについては、総合教育センター教育改革推進部門の吉田博講師が務め、パネリストとして、赤池雅史大学教育再生加速プログラム実施専門委員会副委員長、井戸慶治教授、久保田祐歌特任助教、沖田和也SIH 道場評価?改善ワーキンググループ学生委員が檀上で質疑応答を行った(※ディスカッションの詳細については、「4)ディスカッションのまとめ」を参照)。
次に、「外部評価委員会からのコメント」として、青野透外部評価委員(徳島文理大学教授)と桑折範彦外部評価委員(徳島大学名誉教授)からコメントを頂いた。
青野委員からは、SIH 道場の目的の一つである「考え抜いた」という実感を学生がもつのは多様な学生と議論したときであり、徳島大学のアクティブ?ラーニングの取組において「多様性」をキーワードとして、様々な学部学科の学生や教員同士での議論を行うなど、多様性を活かすことが大事であるとのご指摘を頂いた。また、「協働力」について、大学では多様な人と議論したという経験を持った上で、専門に進んでいくことの重要性が述べられ、ポスター発表のなかで、学生が興味をもつテーマや協働でのグループワークに適したテーマを検討することが今後の課題として挙げられていた点に触れ、FD では授業方法にのみ焦点を当てがちだが授業内容と授業方法はセットであり、授業内容が大切であると述べられた。さらに、ある学科の発表において報告されたように、「文章力」「プレゼン力」を高めていくことが「協働力」につながるというご指摘を頂いた。
桑折委員からは、「ルーティーン」とは基本的なことをきっちりできるということであり、大学生になったら、いかに大学生活を送るかという基本的なところを考えて、自分で一番よいものを見つけるのが重要であるというご意見を頂いた。自分のある種の身の処し方、同じことを繰り返してやるという「ルーティーン」の重要性を学生が理解し、SIH 道場のプログラムに学生が触発されて学生生活を送れればよいと述べられた。
本シンポジウムには、学内教職員、学生および外部評価委員の127 名が参加し、今年度のSIH道場の課題を踏まえ、次年度に向けた改善点を考えるための機会となった。
4)ディスカッションのまとめ
ディスカッションは、シンポジウムで共有されてきたSIH 道場の実施報告やアンケート結果、学生からの意見などを踏まえて、さまざまな立場の参加者間で議論を行い、次年度以降のプログラム改善に繋げることが目的である。当日は、シンポジウムの時間が押し、15 分という短い時間であったが、フロアからの2 件の質問を交えて意見交換を行うことができた。登壇者は、大学教育再生加速プログラム実施専門委員会より赤池雅史副委員長、授業設計コーディネーターより総合科学部井戸慶治先生、各プログラムの実施支援の立場より総合教育センター教育改革推進部門の久保田祐歌特任助教、受講者の立場より医学部医学科1 年沖田和也さんの4 名であり、司会は総合教育センター教育改革推進部門の吉田講師が務めた。
はじめに、SIH 道場の成果として受講学生に与えた効果について、各登壇者が特に効果的であったと感じる点を一つずつ挙げた。まず、受講生である沖田さんからは、医学科のプログラムではあるが、臨床体験実習により専門の学習へのモチベーションになったことや、それが今でも継続しているという意見が挙げられ、SIH 道場における動機づけに効果があったという意見が述べられた。その他に、ルーブリックを用いて、学生が相互に評価を行うことで、自身の学習に対する振り返りを促していることや、高校までの学習との違いを理解してもらうことができたという意見が挙げられた。また、プログラムの形態は、短期間に実施するイベント型と学期全体を通しって実施するセメスター型に分けることができるが、動機づけにおいてはイベント型が、ラーニングスキルの修得についてはセメスター型が、それぞれ効果を挙げているという意見が挙がり、各プログラムのスケジュールに応じて、授業設計の工夫ができることが明らかになった。
続いて、フロアより挙げられた意見として「プログラムが画一的で義務感を感じてしまう部分があった。もう少し個性を出すことはできないか?」について、コーディネーター、実施専門委員会の立場より意見が述べられた。総合科学部では、これまで実施してきたことを無理のない範囲で改善し、実施しているため義務感を感じたことがなく、大塚国際美術館の見学や少人数によるゼミ形式での実施など、工夫を行うことでオリジナルなプログラム運営を行うことができたとのことである。実施専門委員会の立場としては、何をするのかという内容を共有するのではなく、何のために実施しているのかという目的を共有し、できる限り学部担当者と支援担当者が直接話し合うことができる機会を多く設けていくことが重要であるということが挙げられた。
次に、SIH 道場は、教員がアクティブ?ラーニングに関するティーチングスキルを向上させ、各教員の専門科目で実践していくことが目的の一つとされている。そこで、各教員がアクティブ?ラーニングを実践する上で、「最も導入しやすい第一歩となる取り組み」について、アイデアを共有した。登壇者より挙げられた意見としては、学生とのやり取り、学生の意見を聞く機会を少しでも良いので取り入れるということである。ミニッツペーパーを使うことや課題演習の後に学生同士で意見交換をさせるなど、授業の中で5 分や10分でも、そのような時間を確保することから始めるのがよいのではないかという意見が挙げられた。また、e ポートフォリオや反転授業などの手法やツールの導入を優先するのではなく、学生の学習に効果があることであれば、アナログな形式であっても、できることから実施していくことが重要であるという意見が挙げられた。
最後に、学生が感じているSIH 道場の効果と教員が感じている効果には、アンケート結果からも大きな乖離があることも明らかにされており、教員は学生の意見に真摯に耳を傾け、次年度以降のプログラム改善に活かしていくことが重要であるということが共有された。
教員と学生のディスカッションの様子
平成27 年度SIH 道場振り返りシンポジウム 参加者アンケート集計結果
開催日時:平成27 年11 月13 日(金)16:30~18:30
参加者数:127 名
アンケート回答者数:49 名(回収率:38.6%)
問1.回答者の所属について
問2.振り返りシンポジウムについて
問3.振り返りシンポジウムに参加した感想