新薬候補物質の創出を指向した多様な側鎖構造を持つアミノ酸およびペプチドの新規合成法開発

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報告者

徳島大学大学院医歯薬学研究部(薬学域) 助教  猪熊 翼

研究タイトル

新薬候補物質の創出を指向した多様な側鎖構造を持つアミノ酸およびペプチドの新規合成法開発

研究経緯等
 

【研究グループ】

徳島大学大学院医歯薬学研究部(薬学域)薬品製造化学分野 助教 猪熊 翼
徳島大学大学院医歯薬学研究部(薬学域)薬品製造化学分野 教授 山田 健一
徳島大学大学院医歯薬学研究部(薬学域)機能分子合成薬学分野 教授 大髙 章
徳島大学大学院医歯薬学研究部(薬学域)機能分子合成薬学分野 講師 重永 章(現所属:福山大学薬学部 教授)
 

【学術誌等への掲載状況】

  1. Inokuma, T.; Sakakibara, T.; Someno, T.; Masui, K.; Shigenaga, A.; Otaka, A.; Yamada, K. Asymmetric synthesis of α-amino phosphonic acids using stable imino phosphonate as a universal precursor, Chem. Eur. J. 2019, 25, 13829–13832.
  2. Jichu, T.#; Inokuma, T.#; Aihara, K.; Kohiki, T.; Nishida, K.; Shigenaga, A.; Yamada, K.; Otaka, A. A recyclable hydrophobic anchor-tagged asymmetric amino thiourea catalyst (#equally contributed) ChemCatChem 2018, 97, 1269–1287.
  3. Inokuma, T.; Nishida, K.; Shigenaga, A.; Yamada, K.; Otaka, A. Direct enantioselective indolylation of peptidyl imine for the synthesis of indolyl glycine-containing peptides, Heterocycles 2018, 97, 1269–1287.
  4. Inokuma, T.; Jichu, T.; Nishida, K.; Shigenaga, A.; Otaka, A. A convenient method for preparation of α-imino carboxylic acid derivatives and application to the asymmetric synthesis of unnatural α-amino acid derivative, Chem. Pharm. Bull. 2017, 65, 573–581.
研究概要

アミノ酸類縁体はその側鎖部分の構造の違いに応じて多様な生物活性を発現することから、新薬候補物質として大きく期待されています(図1)。我々は側鎖構造の異なる多様なアミノ酸類縁体を効率的に合成する独自の手法開発に取り組んでいます。
 その結果我々は、N-Npsイミノカルボン酸類とよばれる化合物に対して試薬を添加して直接側鎖構造を導入するアミノ酸骨格構築法を開発しました(図2)。本法を用いれば、安定で取り扱い容易な共通基質から、用いる試薬の構造を変更するのみで側鎖構造の異なるアミノ酸類縁体を簡便に得ることができます。
 また我々は、創薬ターゲットとして近年注目されている中分子の合成にも研究を展開しました。検討の結果、ペプチド(アミノ酸構造が多数連結した分子)に対しても我々が開発した反応を適用することができるようになり、ペプチドへの直接的な側鎖構造導入反応という新しいアプローチによる中分子ペプチド合成法の開発に成功しました(図3)。
 

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今後の展望(研究者からのコメント)

以上のように我々はこれまでの研究で、多様な側鎖構造を持つアミノ酸類縁体およびペプチド群の効率的合成法の開発に成功しました。今後は本技術を基盤とし、新薬開発のシーズとなる生物活性アミノ酸およびペプチドの探索に取り組んでいく予定です。

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