歯学部ICTプロジェクト
ICTを活用した地域実践型口腔保健教育による高度専門職業人の育成
-口腔保健を基盤とした健康増進と疾病?介護予防の徳島モデルの構築-
(平成23年度~平成27年度 5年間)
(はじめに)
益々高齢化が進むわが国が目標としなければならない持続可能な豊かな社会とは、高齢者が生き生きとして役割を果たす健康長寿社会であり、そのためには若年期からの生活習慣病などの予防と高齢期における介護予防が必要な条件となります。とりわけ高齢者においては、自分の口から食事ができることがQOL(生活の質)を高めるうえで重要であるといわれており、また要介護高齢者においては口腔を清潔に保つことで死亡原因の上位にある誤嚥性肺炎を予防できるなど、口腔ケアの重要性が広く認識されるようになってきました。 ライフステージに応じた口腔ケアを指導的に担える歯科衛生士やさらにアドバンスの歯科衛生士といえる高度専門職業人を養成する目的で、平成19年に徳島大学歯学部に口腔保健学科(歯科衛生士に加え社会福祉士の資格も同時に取得可能)が、また平成23年に徳島大学大学院口腔科学教育部に口腔保健学専攻(修士課程)が設置されました。修士課程設置にあわせて、歯科衛生士が学校や要介護施設などにおいて、現場の専門職と協働して口腔保健活動を効果的に実践することを支援するモデル(包括ケア型地域ICTシステム)を徳島地域に構築し、これを修士課程の教育?研究に活用し、ICT能力を身に付けた口腔保健業務を担う高度専門職業人を育成する事業が文部科学省の概算事業として採択されました。
糖尿病死亡率ワースト1を持続する超高齢県の徳島に構築するこのモデルは、近い将来に超高齢化に見舞われる全国、全世界の各地域において健康長寿に貢献する先駆的なモデルになるはずです。以下に本事業の概要を列記します。
《目標》
- 教育の質の向上を図り多様な個性を尊重し高度な専門的能力を培う教育環境を整備するとともに教育内容の改善と国際化を推進する。
- 社会との連携や社会貢献に関する目標を達成するための措置の内,地域ICT化の推進ならびに地域連携教育を実施する。
《年度計画の背景》
健康増進と疾病?介護予防のための包括ケア地域ICTシステムを構築し,学部教育ならびに口腔保健学専攻(修士課程)での課題研究演習等において地域実践型教育を展開し,ICTを駆使して口腔保健業務を担うことができる高度専門職業人を育成する。
《具体的な取り組み内容》
- 学部学科学生ならびに口腔保健学専攻(修士課程)における人材育成
- 包括ケア型地域ICTシステムの基本設計の検討,開発ならびに導入
- 学校現場への効果的な口腔保健介入実践のための体制の構築
- 地域連携教育の一環としての介護職員に対する口腔ケア意識向上,スキルアップのため の各種事業の実施
- ヘルシンキメトロポリア応用科学大学との口腔保健に関する教育ならびに研究調査
《実施状況》
- 学校歯科保健支援システムおよび口腔保健業務支援システムの開発ならびに協力施設 (県内小学校1施設ならびに社会福祉施設2施設)への導入
- 口腔保健学専攻(修士課程)学生参加による小学校児童への食育指導の実施
- 介護職員に対する口腔ケア意識向上のためのワークショップ実施
- 口腔保健学専攻(修士課程)学生参加による介護職員への口腔ケアセミナーおよび相互実習の実施
- 学部および修士課程学生が参加したヘルシンキメトロポリア応用科学大学との「口腔保健から健康増進をテーマとした科学的根拠に基づいた教育法の開発」に関する共同研究
平成23年度中間報告書.pdf(3.8MBytes)はこちら
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