【T-PEAKS 創刊号】河村学長インタビュー

HOME事業紹介関連事業T-PEAKS【T-PEAKS 創刊号】河村学長インタビュー

メニューに戻る

【T-PEAKS 創刊号】河村学長インタビュー

 「T-PEAKS」は、研究大学として高みを目指す徳島大学の活動や研究者の情報を発信する連載企画です。日本百名山に選ばれている徳島県の霊峰「剣山(つるぎさん)」と「徳島大学」の2つのTとPeakを合わせて「T-PEAKS」と名付けました。

 創刊号は徳島大学の河村保彦学長と研究支援?産官学連携センター所属でURA(University Research Administrator)の井貫恵利子特任准教授の対談です。今回は特別インタビュアとして徳島大学マスコットキャラクターの「とくぽん」も一緒にお話を聞きました。


 徳島大学は、文部科学省の疯狂体育,疯狂体育app下载6年度「地域中核?特色ある研究大学強化促進事業(J-PEAKS:Program for Forming Japan’s Peak Research Universities)」に採択されました。J-PEAKSは、地域の研究大学が、特定の強い分野の拠点を核に大学の活動を拡張するモデルを学内へ横展開するとともに、大学間で効果的な連携を図り、日本全体の研究力の発展をけん引する研究大学群を形成することを目的としています。徳島大学は、4つのイニシアティブ「光工学」「慢性炎症研究」「栄養学」「情報科学」の知の融合を源泉とし、創造的超高齢社会の実現に資するイノベーションを生み出し続ける研究大学へ発展するというビジョンをかかげています。

 

徳島大学が実現を目指す「創造的超高齢社会」

井貫特任准教授(以下、井貫):J-PEAKS事業が始まってから約1年ですが、採択された時の率直な感想と、この事業をどのように意味ある発展の機会にしていこうと考えているかをお聞かせ下さい。

t-peaks001_1.jpg

河村学長(以下、学長):徳島大学はこれまで「研究大学」を標ぼうし、着々と研究力を高めてきたので、J-PEAKSは「絶対取らなくてはいけない」という背水の陣の気持ちが強かったです。採択通知をいただいた時は本当にほっとしました。また同時に、J-PEAKSの趣旨を考えると、ようやくスタート地点に立てたけれども、これからが正念場というのが正直な気持ちでした。ヒアリングや現場の視察等で、評価委員の方々から厳しいご意見もいただいています。できていない部分は、一つ一つ詰めながら発展させていくしかないと思っています。

井貫:徳島大学は色々な研究?教育機関と連携していますが、そういった組織間連携への期待をお聞かせください。
 現在、J-PEAKS採択大学は25大学あり、徳島大学の参画機関として宇都宮大学、大阪公立大学、滋賀医科大学、神戸薬科大学、国立循環器病研究センター、Technion-Israel Institute of Technology、神山まるごと高等専門学校があります。

学長:徳島大学のJ-PEAKSのビジョンである「『創造的超高齢社会』の実現に貢献する研究大学への発展」の実現は、「4つのイニシアティブの強化によって」という文脈で説明しています。今回、参画機関として加わっていただいている大学や高専は、それぞれが強みや特徴を持っておられるので、取組みの具体的な内容や成果を共有しながら、さらに互いに切磋琢磨できたらと考えています。

井貫:「創造的超高齢社会」は人々が高齢になっても健康で幸福な生活を謳歌でき、社会と関わり貢献し続けられる社会と定義しています。「創造的超高齢社会」と言うと、お年寄りだけのことのように聞こえますが、そういうことではないということですね。

学長:はい、その通りです。あらゆるライフステージにおいて「健康」だということです。年代を問わず楽しく社会参加ができて、それぞれが持つスキルを十分発揮していける、そういう社会が「創造的超高齢社会」ですので、高齢の方々ばかりではなく、そこへつながる若い方々も含めて能力を上げていく取組みだと考えています。人口は減少していきますから、一人一人の意欲と対処できる能力を向上させて、最大限ライフステージ全般で活躍できるようにということです。

 

徳島大学の良いところは目に見えない?

井貫:徳島大学は、オープンイノベーション拠点の設立や2022年~2026年は国立大学改革?研究基盤強化推進補助金(国立大学経営改革促進事業)も獲得しています。最近では、日経グローカルの大学の地域貢献度調査でも高い評価をいただいています。地方大学として力をつけてきた背景には、徳島大学の教員?職員が一丸となって研究力向上に努力しているからだと思います。学長として、本学が評価されている一番のポイント、ここが良いと思われているところを教えて下さい。

学長:やはり今、言われた疯狂体育,疯狂体育app下载を上げているということ、知財収入も第3期中期計画期間で全国国立大学中トップ10に入るなど、多くを確保できていることは、研究者の方々の努力と支えてくださる職員の方々の支援が大きいと思います。
 それに加えて、月例の記者会見やスポット的にプレスリリースを出すなど、発信にも努めていることは評価を高めていると思います。徳島大学は総合大学として様々な分野の研究者がおり、多くの先生方が自治体等の委員会に参加されていることも大きいです。さらに、徳島大学は設備が整っていて、支援される職員の方々の経験が豊富であると思います。研究環境が良いところには、地方であっても人が集まっていただけると思います。

井貫:私も1年前に徳島大学に着任しましたが、徳島大学は機器がそろっている上に、技術支援部の方々のサポートを得ることができ、機器の管理等、表に見えないところに良さがたくさんあると思います。サポートが行き渡っていることが外部から来ると分かります。

学長:徳島大学に着任された先生方が学会等の機会に良いところを話したり、学生もSNSで徳島に来てみたらいいところだったと発信したりして伝わっていく。そういう発信の影響力は大きいと思います。

 

地域企業への疯狂体育,疯狂体育app下载の波及が1丁目1番地

井貫:J-PEAKSを活用した「地域中核大学」としての発展はどのようにお考えですか。

t-peaks001_2.jpg

学長:「創造的超高齢社会」の実現に貢献することをビジョンに掲げているので、J-PEAKSの研究を通じて得られた成果を社会に波及させていくことが重要で、1丁目1番地として地域の企業に成果を波及できればと考えています。また、そのネットワークを通じて国内の企業や海外の研究機関とつながることができれば、成熟社会において大きな課題である高齢化の課題解決に貢献できると思っています。
 高齢化社会の課題解決は、他のJ-PEAKSの採択大学が掲げている地域の課題にも密接に関係しているので、そういうところで連携していけると考えています。連携を通じて、J-PEAKSの本来の目的である日本全体の科学技術力のレベルアップに貢献できるのではないかと考えています。

井貫:地方の大学は同じような課題感を抱えているでしょうから、連携しやすいテーマであると改めて感じました。色々な大学に、具体的に「リンクし合えますよ」と発信することで、共同研究の発展の後押しにつながると思います。

学長:すでに参画機関ではない大学やJ-PEAKS採択大学の学長から「徳島大学と何か連携できないか」と言われています。国際卓越研究大学やJ-PEAKSの採択大学と幅広く連携していけるところがあれば、ぜひとも協力していきたいと思います。私たちは四国に位置する大学なので、中?四国地域の10の国立大学を含め、密接に連携できる活動は多々あると思います。

井貫:やはり距離的な近さは強みです。そういった大学との密なネットワークを一体化していくことが重要ということですね。

学長:そうですね。点と点ではなくて、点と点がもっと増えて面になる、そのような考え方で、「共創の場」等を通じて、まずは中四国から関西圏で連携を広げていければと思います。

 

大学全体の意識改革

井貫:大学全体の意識改革が求められています。今後、どのようにギアチェンジしていかなければいけないとお考えでしょうか。

学長:学内の研究者の一人一人が、J-PEAKSの採択がご自身の研究にきちんとつながるという意識を持っていただくために、まずはJ-PEAKSに採択された大学に所属しているということに誇りに感じていただきたいと思います。その上で、J-PEAKSの採択を機に、徳島大学が一歩も二歩もバージョンアップ、もっと言えば「刷新」ですね。徳島大学を「刷新」していかなければいけないと思っています。
 研究者は、その分野のエキスパートなので、それぞれの考えを持って日頃の教育?研究や社会貢献に努めていらっしゃると思います。そういう方々の集合体ということで、今回、J-PEAKSに採択されて10年後のビジョンを描き、4つのイニシアティブを強化し、それに伴って横のつながりも強化することで、大学全体として刷新されていくというイメージを持っています。そのイメージに対して、先生方がそれぞれどう考えているかというコミュニケーションを取ることが大事だと思っています。コミュニケーションを取っていく中で、J-PEAKSに対する先生方の思いが、また変わっていくのではないかと思います。
 IPHFに所属されている先生方は格別強いモチベーションを持っておられると思いますが、現在、IPHFに直接関わっていない先生方も、徳島大学がJ-PEAKSに採択された大学だということを念頭においていただいて、「自分は本学のJ-PEAKSに対してどう思うのか」ということを、いろんな機会を通じてコミュニケーションを取っていただくことが第一歩かと思います。その時に、「こういういいことがあった」とか、いわゆるグッド?プラクティスを共有してもらい、それをまた反芻して「それなら自分の研究ではどうだろう、どのように活用することができるのだろうか」と考えていただくと、次第に徳島大学のJ-PEAKSが溶け込んでいく、あるいは我が事として共感していただけるようになっていくと思います。

井貫:J-PEAKSが、特定の先生だけではなくて、全ての先生方にちゃんと紐づいているということですね。学長の発信を受けて、「創造的超高齢社会」に、一体どのようにつながっているのかを前向きに考えていただきたいということですね。J-PEAKSが全ての先生方にリンクしているということを感じていただけるといいなと思います。

学長:一人一人の力が倍増していくことで、さらに徳島大学のJ-PEAKSが大きな成果をあげられると思っています。

t-peaks001_3.jpg

井貫:J-PEAKSを異分野融合の後押しに使っていただけるといいですね。J-PEAKSでは大型の機器も沢山入りますし、汎用性の高い機器ですので、実際に活用されて、J-PEAKSとの関係性を感じていただけると思います。「この機械、知らなかったけれど、実はJ-PEAKSだった」というものがあると思います。

学長:今のお話を聞いて、J-PEAKSのロゴマークのシールを作って、J-PEAKSで入れた機械に貼ったらどうかと思いました。そうするとこれがJ-PEAKSだと気が付いてもらえるのではないかと思います。

井貫:確かに身近なところで地道なアピールをしていくことは大切ですね。

 

基礎研究の重要性

井貫:J-PEAKSは事業の中で研究大学としてのKPI(Key Performance Indicator、重要業績評価指標)がありますが、大学として、すぐには成果が出ないような長期的な視点をもった挑戦についてもバックアップしていかれるのでしょうか。

学長:私は、大学の研究者の自由な発想に基づく研究を、これからも大事にしていきたいと思っています。今回、ノーベル賞を受賞されたお二人の先生方も繰返しおっしゃっていますが、基礎研究の重要性ですね。特に、徳島大学が今後発展していくためには、若手の先生方の力がすごく重要ですので、若い自由な発想に基づいて、今日明日にはどうなるか分からない研究に取組まれる若手の先生方を後押しできるような、そういう徳島大学であるべきだと思います。
 ビッグネームの先生方も多いのですけれども、それらの先生方に加えて、若手の先生方の意欲ある基礎研究をぜひとも支援したいと思います。J-PEAKSのKPIは結構ハードルが高いのですが、AIの援用など、若手の先生もできるだけ研究時間を確保していただき、研究に集中できる時間を作っていけるよう、組織のあり方や支援の仕組みを考えていきたいと思います。

 

「J-PEAKS for all」

井貫:最後に改めて、学長からメッセージをお願いします。

学長:まずは、若手の先生へのエールを送りたいということと、それから4つのイニシアティブに関係ないのではと思われるような、特に文系の先生方も研究クラスター等で支援をして、文系?理系にかかわらずレベルアップしていきたいと考えています。
 医療系は、人の命にかかわるので、ある意味、成果に対してすごく注目を集めます。それに対して心の問題や考え方の問題は目に見えにくいですが、新たな科学技術の発展のためには必要とされる分野は幅広いと思います。ともすれば、4つのイニシアティブがクローズアップされがちですが、J-PEAKSとして徳島大学全体を引上げてレベルアップできたらと思っています。すなわち「J-PEAKS for all」のイメージです。

井貫:J-PEAKSにおける4つのイニシアティブを引っ張り上げながら、すそ野を広げていくということかと思います。色々なところが渦となって上昇気流になっていくイメージは、まさに徳島大学が J-PEAKSで描いている絵そのものですね。本日お話を伺って、J-PEAKSが具体的に、かつ解像度が高くなりました。本日はどうもありがとうございました。

 

t-peaks001_4.jpg
井貫特任准教授(左)、河村学長

掲載日:2026年2月13日

 

カテゴリー

PAGE TOP